マグヌム・オプス
ゲストハウスに隣接するモーテルが、どうやらこの世界特有の現象として、出現したばかりの未知の建物であることがわかってきた。 彼は、先ほど聞こえた、モーテルのドアが閉まる音から、車の持ち主と思われるゲストハウスへの来客が、間違えてモーテルに入室…
彼はゲストハウスを離れることにした。行き先のあてがあるわけではないが、わずかな間に奇怪な出来事が頻発するような物件にいるよりはマシだろうと、例の道を先に進むことにした。 ゲストハウスを出ると、外の様子の違和感にすぐに立ち止まる。ゲストハウス…
鏡のなかに謎の自分を見たことで、だいぶ混乱をきたした彼。 疲弊して仮眠を取ることにした彼は、開け放たれたドア越しに見える階段を、眠りに至るまでのまどろみの中でヴィジョンとして視ていた。 その階段を上がってくる者がある。 トン……トン……という足音…
2階への階段を上がりきると、折り返しの廊下がある。廊下の途中、奥まったところにドアがある箇所が2つーーこれが個室なのだろうーー廊下の先にはやや広めの部屋があり、ここがドミトリーのようだ。 ドミトリーには廊下とを仕切るドアはなく、床はフローリ…
玄関ドアを開けると同時に、ドアに備え付けられたベルが鳴る。 彼がそこに見た光景は、入口より続くわずかな通路、その先にある部屋。部屋の左側にはバーカウンターがあり、カウンター内に男が1人立っていて、カウンター客席にも1人の男が座っていた。予想…
(あぁ……広い……飽きるほど広い……あとどれほど続くんだ、この道は……? いや、この世界は……か……) 見渡す限りに白茶けひび割れた大地。 幾重にも重なり連なる浅い轍が巨大な道となり、果てしない荒野の彼方まで伸びている。 その道を、彼は歩いていた。 彼は荒…
空は青く、硬く乾いた広大で平らな荒野…… 点在するわずかばかりの枯れ草が砂塵を散らす微かな風に揺れ、地表と同じ有り様の小さな丘が台地型に隆起しているのがあちこちにいくつか見てとれる。遥か遠くにはそれよりは明らかに高いであろう白茶けた山の稜線が…